対談シリーズ

守り続けていくもの
変えてゆくべきこと

安形:
先ほどのお話しじゃないですけど、藤崎さんのところは、そこを実現するためのツールとして、ミッションステートメントというものを、一番先に作られたというお話ですが、差し支えなければ、どんなことで、どんなコンテンツになっているのか、教えていただいてもよろしいでしょうか?
藤崎:
実は今、安形社長からもすでにキーワードがいくつか挙がりましたが、私たちは「Our Promise」と呼んでますが、経営会社が持っている経営理念から始まり、私たちホテル独自のミッションをまとめたものを常に携帯しています。
その最上段には、「この先の100年も東京の中心で輝き続け、語り継がれるホテルであろう。先人達の積み重ねと、このヘリテージに感謝して」とあります。これが最も重要な軸で、それから例えばソーシャル・リスポンシビリティやイノベーティブ、などをまとめています。当然のことながら、ミッションステートメント、これは使命と行動指針ですので、ホテルのオペレーションで判断に迷ったりする際には、必ずここに戻る、いわば北極星であると伝えています。
一番大切なことは、突然このホテルができたわけではないということです。100年前にどうして東京駅ができたのか、その背景や東京駅丸の内駅舎を創った方たち、このホテルを開業させた方たちは、どういう想いでいたのか。それらを理解しないことには将来に渡ってバトンをつなぐことはできない。ホテル再開業のときには、通常サービススキルのトレーニングに時間を割くホテルが多いですが、様々な理由もありましたが、私たちは2割ぐらいしか時間を割けなかった。残りの8割はまさにこの伝統を理解する、歴史を理解する、そしてこのホテル、この駅舎の存在価値、関わった方たちの想いを理解することに費やした、といえるかと思います。
今回の東京駅丸の内駅舎保存・復原プロジェクトで、延べ78万人の方が関わったのですが、その方たちが一体どういう想いで取組んだのか。それをインタビューをして、一緒に働いて、理解をする。その時間が一番大切でした。サービス(業務)ではなかったかもわかりませんが、中長期ではこのプロジェクトの本質を理解することが一番大切だと確信していました。
安形:
私どもも、「企業理念」という話と、企業理念を実現するための「ビジョン」、その下のところの今言った戻るところ、「JTEKT WAY」と価値観、この3層構造で整備をしてきたのです。
日本の産業を興したい、国産化したい、日本そのものを有数な工業立国にしたいという、創業者たちの熱い想い。その中で、日本の社会、ひいてはだんだん世界、世の中に貢献していきたいという想いがあって、それがトップにくるのです。それを実現するものとして、その下にビジョンがあって、その下にもうひとつ実は合併した会社だから、クリードがいっぱいあるわけです、歴史があるので。それ自体はどれも否定できるものではないですし、リスペクトすべき、大事にしなければならないものなのです。

これも1年半ぐらいかけまして、スタッフが世界中を走り回ってインタビューもしました。リタイアされた大ベテランの方、現場の職人さんから若い人たちにも。今まであるものを全部整理して、5つに再整理したのが、この「JTEKT WAY」です。これは先ほどおっしゃったのと一緒で、迷ったらここへ戻ろうと。これは要ると思ったのです。